~料理人になろうと思ったきっかけ~
やるからには「一番」になれる仕事
育ちは東京の大森で、大井競馬場の近くに住んでいました。
当時、同級生に調教師の息子さんや、競馬関係者の子供が多く、
同級生のお父さんから騎手に向いていそうだと言われたこともあり、
ジョッキーを目指していた時期もありました。
しかし当時、大井競馬の騎手は、今でいうG1などの中央競馬には出場出来なかったのです。
「やるからには一番」を目指したいと思っていた自分にとって、地元ジョッキーの道は難しいと思い、
違う道を考えるようになりました。
親が料理人でしたので、「料理人になれば一番になれるかも知れない」と思いました。
料理人の中で一番というよりは、お店で料理長という立場が一番だと思ったこともあり、
この道に進むことに決めました。
~料理人としての出発~
「人とのつながり」
父親から関東と関西では調理方法が違うので見てくると良いだろうとの勧めで、
最初は大阪のお店で修業を積むことになりました。
10代の頃は毎日のように怒られていました。
親方も色んな人がいましたので、同じことをしても満足してくれる人もいれば、
そうでない人もいました。
親方が来ると必ずお茶を持っていくのですが、暑い⽇に熱いお茶を出したら怒鳴られ、
「何故そんなことで・・・」と思うこともありました。
しかし、それはイコールお客様の要望に応えるということをそこで教えてくれたのだと
思いました。
今となると、食べ物を提供するということは、命を預かっていることで、
よくよく考えてみると当たり前のことのように思います。
休みの⽇はいつも先輩に連れ出され、可愛がってもらいました。
下積み時代の経験は「人とのつながり」を本当に実感するものでした。
今でも僕が困っていれば助けてくれますし、逆に他の人が困っていれば助けます。
~成長に繋がった出来事は~
3番目についた師匠が⾃由に仕事を任せてくれたことが⼤きなきっかけでした。
一見自由は楽そうですが、一番大変です。
そこで「任せるからしっかりやりなさい」と言われまして。
嬉しい気持ちと同時に責任感を持って取り組みました。
今までの親方は僕の性格など把握したうえで育ててくれました。
褒めて伸ばしてくれた部分と、厳しくしてくれた部分と両方です。
料理を教わったというより、「会社組織とはこういうものだ」
「人との付き合いはこういうものだ」ということを教わりました。
後輩への接し方も、その時の影響が大きいと感じます。
~コンクール応募のきっかけ~
千葉の館山で旅館オープンの話があり、そこで4年料理長を務めました。
今まで忙しい店を経験していましたので、旅館に移ってからは余裕がありました。
完全予約制で朝は7時から始まり、昼食はなく夕食を出して終わりでした。
拘束時間は長いですが、その代わり自分の時間が取れましたので、
千葉県内の料理のコンクールなどにも参加していました。
その結果、文部科学大臣賞や厚生労働大臣賞をもらうことが出来、
様々な方と出会い、人脈も広がりました。
~食材選びと料理に対する想い~
「素材と向き合う」
「生産者のこだわりを大切にする」
野菜にしても全て国産を使いたいですし、食材の状態を見てメニューを決めることにしています。
予め、今月のメニューを決めることはあまり好まないです。
また、食材は無駄なく全て使い切るようにしています。
「旬であること」「間違いなく美味しいこと」「食材の状態によって調理方法を変える」など、
素材としっかり向き合わなければいけないと思っています。
千葉県で働いていた際、地元で農園を営んでいる方と出会い、産地に直接伺うこともありました。
農家では⾥芋、⼤根、トウモロコシ、イチゴなどを⾃ら収獲する機会がありました。
大根を10本抜くだけでも重労働だったことを覚えています。
また、3日前に見た時にはさほど大きくなかった実が、今日見たらこんなに大きくなっているなど、
「成長を身近に感じられる経験」も貴重でした。
収穫に直接関わることで、次第に「産直」に興味を持つようになりました。
生産者の方は「こだわり」を持ってらっしゃる方も多く、その気持ちを大事にしたいと思っています。
食材によって美味しい調理方法を教えていただける生産者の方もいるので、積極的に取り入れています。
お店は昨年開店しましたので、料理人は様々なお店での経験を積んだ人が多く居ます。
メニューを考える際にはトップダウンではなく、彼らの意見も積極的に聞くようにしています。
フカヒレと芹の浸し、あん肝羮、小巻玉子
マヨネーズ鋳込みトマト、 蓮根紫煮、 胡桃飴煮、
黒豆塩焼き、タコからすみまぶし、苺見立て赤貝、花弁百合根
鮪角造りと生雲丹トリュフ黄身醤油かけ
桜大根、水玉胡瓜、花弁人参
春の炊き合わせ
伊勢海老具足煮、 菱桜花里芋、桜花南瓜、
芽キャベツ、蕗、蕨、瓢箪人参
蓮の葉盛り
鮎素麺、鶉温玉、茗荷
今まで都道府県のフェアは開催したことがなかったという平井氏。
調理師会長からリッキービジネスソリューションの紹介があり、
初の取り組みとして福岡フェアを行うこととなりました。
お店のフェアでは博多和牛、豊前海産寒平目、博多蕾菜などを使用したメニューを
考案してくださり、講習会等でも博多ナスやトウモロコシなど福岡食材を
紹介してくださいました。
博多和牛低温調理炙り焼き
クレソン味噌、合馬筍、焼き蕪、クレソン浸し、針ラディッシュ
玄海産穴子八幡巻 、骨煎餅、酢取り茗荷
福岡とうもろこし豆腐、蟹、枸杞の実、美味出し汁、
もろこしおこわ
~大和屋 三玄について~
ここに来たら替えがないという風に思ってもらえるように「一期一会」を大切にしています。
料理だけでも駄目ですし、空間であったり、サービスであったり、それが全部整った態勢にしていきたい
と思っています。
ここに来てくれることが楽しいと感じるような時間を過ごしていただけたら嬉しいですね。
料理に関してはシンプルなものや、驚きがあるものを提供していきたいと思っています。
大和屋 三玄 銀座店
やまとや さんげん ぎんざてん
所在地 :東京都中央区銀座7-15-7 クオリア銀座やま祢ビル1F
電話番号 :03-6260-6088
営業時間 :月~土、祝前日: 11:30~14:30 17:30~22:30
定休日 :日、祝日
HPはこちら